アークエンジェルのミーティングルーム。
そこには現在、ストライクのパイロット・キラと、敵であるザフトの歌姫・ラクス+ラクスの愛ロボ・ハロがいた。
キラは少し不機嫌だった。
原因は目の前で繰り広げられているものだ。
「………」
キラは頬づえをつきながら、向かいに座っているラクスと、そのまわりを跳ね回っているハロを見ていた。
「きゃ、ハロくすぐったいですわ」
キラの額に青筋が浮いた。
「ふふ、あ、もぅハロ、そんなことをしてはいけませんよ」
またキラの額に青筋が……。
さっきからずっとこんな調子だった。
せっかく二人きりになれたと喜んでいたキラだが、ラクスにはずーーっとハロがくっついていた。
しかも二人(?)のいちゃいちゃを見せつけられて、キラは不機嫌そのものだった。
(……ハロめ……ロボットの分際で。アスランの奴が余計なもの作るから………)
などと鬼畜なことを考えていたキラは、突然目に入ってきた光景に絶叫した。
「あ―――!!」
キラはがたんっとイスを倒し、立ちあがる。
ラクスは突然の叫び声に目をまるくした。
「ど、どうしたんです?キラ様………」
「い、い、今………ハ、ハロに……」
「ハロに?」
「キ、キ、キス………」
「え?あ、はい。しましたわ」
それが何か?とラクスは首を傾げる。
「な、な、なんで………」
「?いつものことですから」
キラは一瞬耳を疑った。
「い……つも?」
「はい」
満面の笑顔で肯定するラクスを見て、キラの中で何かが切れた。
ふらっ……とした感じでキラはラクス+ハロに近づいた。
「キラ様?」
ラクスに声をかけられキラはふっと顔を上げた。
その顔は恐いくらいの笑顔だった。
「ハロ、ちょっとおいで」
キラは優しーくハロを呼ぶ。
「キラ、キラ」
ハロはすぐにキラのもとへ跳ねていく。
キラはハロを持ち上げ言った。
「僕ラクスにちょっと話しがあるから、その間散歩してきなよ」
「テヤンデ―ッ!」
「じゃ、そういうことで」
キラはドアを開けた。
「ミトメタクナイッ!」
「認めてね」
「オマエモナッ!」
「うん、じゃまたね」
「ヨッシャー!」
なんだか会話が成り立っているのが恐い。
キラはハロが了解したとして、ハロを廊下に放り出した。そしてドアをロックした。
今までニコニコしながら会話を聞いていたラクスが声をかけてきた。
「キラ様、お話ってなんですか?」
マイペースなラクスにキラは呟くように聞いた。
「ラクスってさ………僕とハロ、どっちが好きなの?」
「はい………?」
いきなりの質問にラクスはきょとんとした。
「あの、キラ様?」
「どうなの、ラクス………」
キラはゆったりとした動きでラクスに近づく。
ラクスはなんだか恐くなって後ろに引いた。
けれど壁があってそれ以上下がれなかった。
ラクスを追いつめたキラは壁に手をついた。自分と壁とでラクスをはさむ感じになる。
「どうしたんです……?キラ様……なんだかキラ様じゃないみたいです………」
「僕の質問に答えて」
「……キラ様に決まってますわ………」
「そっか………じゃ、キスして」
「えっ!」
「ハロにはしたのに僕にはしてくれないなんてこと………ないよね?」
「………」
ラクスは顔を真っ赤にして下を向いてしまう。
そんなラクスに、キラはふ〜んという顔をしながら言った。
「……じゃ、いいよ。」
「………?」
許してくれますの?とラクスは顔を上げた。
が、そんなラクスの目に写ったのは、不敵な笑みを浮かべたキラの顔だった。
「ラクスがしてくれないんなら僕からするし」
「え……ん!?」
ふいに、キラの唇がラクスの唇をふさいだ。
「……ん。キ、ラさ………」
ラクスはなんとかキラから逃れようとしたが、キラがそれを許さない。
「駄目だよ。僕はもう限界なんだから………」
そう言ってキラは、ラクスの唇をまたふさぐ。
ラクスにはもう逃れるすべはなかった。
「ハロッ、ハロッ!」
しばらくしてハロが帰ってきた。
「お帰りハロ」
キラはにっこり笑ってハロを出迎えた。
「散歩は楽しかった?」
「ハロッ!オマエモナッ!!」
ハロのその言葉にキラはニッと笑った。
「うん、楽しかったよ♪それじゃ、僕はブリッジに行くから。じゃあね、ハロ。それにラクス」
キラは後ろを向いていたラクスに声をかけた。
「は、はい!」
ラクスは後ろを向いたままひきつり気味の返事をする。キラはにっこりと笑い部屋を出ていった。
出る瞬間キラが呟いたのは……
「ごちそうさま」
という満足気な言葉だった。
END
‐あとがき‐
初黒キララク〜。
わぁ、すっげキラが違うキャラだよ。ありえない。
ラクスも違うし。妄想ってすごいですね!!(ァホ)
これをはじめて掲載した時、あんまり黒キララクってネット界になかったんですよね。つーかキララク自体が少なかったです。
なんだか微妙に黒キララクは好評だったなーってしみじみ思います。やっぱり少なかったからでしょうね。こんなショボイのに好評だったなんて。
今は素敵黒キララクを取り扱われてるサイト様も多くて幸せvv黒キララク大好きvv
再up:04.12.12
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