ピピッピピッ
軽快な音が鳴り響く。
ピピッピ………
止まった。いや止められたのだ。
目を覚ました部屋の主によって。
部屋の主はむくりとベッドから上体を起こすと大きくあくびをした。
「………ん――ぃよしっ」
部屋の主―キラは着替えるため、ベッドから降りようと手をついた。
が、キラが手で触れたのは、固めのベッドではなかった。
「………ん?なんか柔らか……い!?」
手に触れたのを確かめようとしたキラの目は目を剥いた。触れたのは……
「ラ、ラ、ラ、ラクス!?」
だった。
「な、なんで!?」
仰天するキラの隣ではすやすや眠るラクスが一人。
キラが触れたのはベッドではなくラクスの体だったのだ。
「どうりで柔らかいはず………じゃないっ!」
自分の発言に顔を赤らめ、キラはぶんぶん首を振る。
「どうしてラクスが僕の隣で!?も、もしかして僕ラクスと………」
そこまで口に出すとキラの顔はぼんっと蒸気をだす。
「あああ――!思い出せない〜〜!!」
悶えまくるキラ。
と、それまでマイペースに眠りつづけてたラクスが、ん……と声を漏らした。
キラは慌てて自分の口に手を当てる。
ちらっとラクスに目をやると、静かな寝息をたてていた。
ほーっと息をつき、キラは心の中で考えることにした。
(………いや、昨日は戦闘がきつくて疲れてたからすぐに寝たはず……。ラクスとそんなことする余裕………って何考えてんだ僕は!?………でもこの状況からありえなくは………って違う――!!)
とかなんとか、バカなことをやって(考えて)いたキラはふいに視線を感じた。
目を向けてみると寝ぼけ眼がじーっとこちらを見ている。
ラクスが起きたのだ。
「……あらぁ?キラ様………?」
ぽけーっとした声だ。まだ完全に目が覚めきっていないらしい。
目をこすりながらラクスはキラを見つめる。
一方のキラは完全に固まっている。
「ここは私のお部屋では……あぁ、そういえば………」
何か思い当たることがある様子のラクスに、はっと我に返ったキラは慌てて尋ねる。
「な、なんでここにいたか分かるの?」
「はい」
返事をし、ラクスはむくっと起き上がる。
そして口元に手をあてながら語り出した。
「私、夜中に喉が乾いてしまってお水をいただきに食堂へ行ったんですが、帰り道が分からなくなってしまったんです………。幸いキラ様のお部屋まではなんとか………」
「ここに?」
「はい。ですがキラ様はよくお休みになっていて………」
「あ――ごめん………」
しゅんとうなだれるキラにラクスは慌てる。
「いいえ、キラ様は悪くありませんわ!連日の戦いでお疲れなんですもの。え……と、それで私は悩みぬいた末、キラ様と一緒に寝させていただきましたの」
「…………」
にっこり笑ってさらっというラクスにキラ絶句した。肩がわなわな震えている。
ラクス当人はきょとんとしている。
キラが震える口を開いた。
「それじゃ、ラクスは………部屋に帰れないから僕の部屋に…………?」
「はい、キラ様ならよろしいかな、と」
よくない――っと叫びたい気持ちを押さえ、キラは言った。
「ラクス………あのね、僕は『男』で君は『女』だよ。意味わかる?」
「?」
まったく分かっていないラクスにキラは脱力した。
しかし、次の瞬間に紫の瞳に光が宿る。
そしてぼそっと言う。
「わかんないんなら………教えてあげよっか?」
意味深なキラの言葉。
なのにラクスはまったく気づかず笑って頷く。
「はい、ぜひ教えてくださ」
ラクスは言い終えることができなかった。
言葉を紡ぐ唇がキラによってふさがれたからだった。
ラクスはその後二度とキラの部屋に『夜』訪れることをしなくなった。
その反面、キラのラクスのお部屋訪問は増えた、らしい。
END
‐あとがき‐
これはですね、キラがフレイの毒牙にかかる話が放送される前に書いたやつでして、その時はまさかキラがあんなことになっちゃうなんて露にも思ってなかったのです。(泣笑)
途中までは白いキラでしたがラストでいきなり黒くなってますね。黒くなるとエロぃ(笑)
やっぱ攻めはキラですよ!黒キラ攻めキラ最高!!
ラクスは白ーいぽけぽけが好きだぁvvv
再up:04.12.12
ブラウザを閉じてください。