戦闘もなく、好調に進むアークエンジェルの食堂で、美少女3人組は仲良く話をしている。
話題は『キラ・ヤマトについて』であった。
 
「キラって、見かけによらず本当に強いわよねー」
 
机に頬づえをついてしみじみとフレイは言う。
それにカガリが腕を組みながら頷く。
 
「確かに。あいつはひ弱そうなくせにザフトのガンダムを相手に4対1で負けていないのだからな」
「そうそう。あ、ねーラクスはどう思う?」
 
フレイは向かいに座るラクスに問うた。
ラクスはきょとんとしている。
 
「なにがです?」
「だからキラについてよ。」
「キラ様ですか?」
「そう。強いとか、かっこいいとか」
 
フレイが例えを言うとラクスはようやく合点がいったようで、あぁと手を重ね合わせた。
ラクスはにっこり笑って一言。
 
「可愛らしいvです」
「「はぁ?」」
 
声を揃えるフレイ&カガリ。
 
「「か、可愛い?」」
「はい!」
 
引きつり顔の二人に対して、ラクスは嬉々として言う。
 
「キラ様はとっても可愛らしいですわvまるで女の子のようで」
「ラ、ラクス……それはちょっと……。他にはないの?」
「他ですか?そうですねー」
 
うーんと考えてラクスは、ぽんっと手を打って一言。
 
「愛らしいv」
満面の笑みで言うラクスにフレイは脱力した。そして隣に助けを求める。
 
「カガリ〜なんとか………カガリ?」
 
フレイは目を瞬く。
カガリは真っ青な顔をしていた。
 
「ちょっと、どうし……ひっ!」
 
カガリの肩をつかみ話しかけたフレイは、カガリの目線の先に世にも恐ろしいものを見た。
それはラクスの背後にたたずんでいた。
 
「どうされました?お二人とも……」
 
二人の様子をおかしく思いラクスは後ろを向く。
そして、ぱぁっと笑顔になった。
 
「まぁ、キラ様」
 
ラクスの後ろにはキラがいた。にっこり笑っている。
 
「僕の話してたの?」
「はい」
「ふーん、そうなんだ」
 
ラクスは気づかない。
キラの笑顔がいつもと違うことに。
フレイとカガリは気づいていた。
キラの笑顔がいつもと全く違うことに。
 
(め、目がぁ〜〜。笑ってるけど・・・恐い〜〜)
(む……無敵最恐のキラが………降臨した………)
 
手を取り合って震えるフレイとカガリ。
そんな二人にキラは目を向けた。
 
「ね、ラクス連れて行くけどいい?」
「え、あ………」
「ちょっ、ちょっと………」
 
このまま連れて行かせたらまずいと思ったフレイとカガリは止めようとした。
が、キラは笑みを強くして言った。
 
「いい……よね?」
「「どうぞ………」」
 
最恐のオーラに迫られ、フレイとカガリは頷くしかなかった。
キラはにこっと笑う。
 
「ありがとう。じゃ、ラクス行こう」
「あ、はい。カガリさん、フレイさん失礼します」
 
ぺこっと頭を下げてラクスはキラと共に食堂を出て行った。
二人を見送ってフレイ&カガリは心の底から言った。
 
「「がんばれ、ラクス………」
 
 
 
キラはラクスを自分の部屋へ招いた。
ラクスはキラがいつも以上に、にこにこしていることを全く不審がらず、それどころか機嫌がいいのだと思い喜んでいた。
 
「ラクス、そこ座りなよ」
 
キラがラクスにベッドに座るように言うと、ラクスは素直に座った。キラもイスに腰掛ける。
 
「で、僕のことで何話してたの?」
「キラ様をどう思うか、です。フレイさんとカガリさんはキラ様は見かけによらず強いと………」
「見かけによらず………ね」
「はい」
 
キラの目が据わっていることに気づかずラクスは満面の笑みで肯定する。
 
「………それで、ラクスは?」
「はい?」
「ラクスは僕をどう思ってるの?」
「あ、はい!可愛らしいvと」
「あと、愛らしい?」
 
ぼそりとキラは呟く。
 
「はい。………あら?キラ様お聞きに………」
 
目を瞬くラクスにキラはふっと笑うと、立ち上がりラクスの前に立つ。
 
「?キラさ………きゃっ!」
 
ラクスは突然ベッドに倒れこんだ。
というより倒された。キラに。
 
「キラ様……?」
 
目を大きく見開くラクスにキラは半目+口だけの笑みで言った。
 
「ラクス、今後僕のこと可愛いとか、愛らしいとか………言えなくなるね」
「え、え?」
 
激しく戸惑うラクスにキラはくすりと笑う。
 
「今から僕より君のほうが何倍も可愛く、愛らしく………させてあげるから」
 
言い終えると同時にキラはラクスに唇を重ねた。
 
有言実行。
 
それが無敵最恐キラのもっとうであった。
 
 
〇おまけ〇
 
「フレイ、カガリ」
 
キラは通路を歩く二人の少女に声をかけた。
二人はびくりと肩を震わせ、ゆっくりとキラの方を向く。
 
「な、何?キラ………」
 
冷や汗だらだらの二人に対してキラはにこにこ笑っている。
 
「あのさ、僕ってそんなにひ弱?」
「いっ」
「見かけ弱そう?」
「えっ」
 
ぎくっびくっとするフレイとカガリ。
キラは笑っている。口だけ。
 
「話するのは勝手だけど気をつけてね?」
「「…………」」
「ね」
「「………はい」」
 
キラはやっぱり無敵最恐。
それを再認識した二人だった。
 
END
 
‐あとがき‐
 
最初っから最後まで黒いキラさん。
素敵v(は?)
 
ラクスとカガリとフレイがこんな風に仲良くなるって………ありえないですね。
だって三人揃って会ったことなんてないし。ラクス、はともかくフレイはキラ依存症だしラクスと仲良くできたかしら?最終回の彼女ならできたかもだけど。
 
こんな話を考えてた自分にびっくり。でした。
 
再up:04.12.12
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cute