「マードックさん、整備終わりました」
 
ストライクの中からキラはマードック軍曹に声をかけた。
マードックはすぐにやってきて豪快に笑う。
 
「相変わらず早いな――!よし、坊主。もう休めや」
「いえ、何か手伝いますよ」
「お、そうか?そりゃー助かるな。それじゃ………ん?」
 
キラに何をしてもらうか考えていたマードックは、下が騒がしいのに気がついた。
ストライクから下へと目を向けると、マードックは目を瞬く。そして、にやっと笑ってキラを見る。
 
「やっぱりお前はもう戻れ。ほら、お迎えだぜ」
「……迎え?」
 
首をかしげてキラはストライクから出ると、下を見た。
その次の瞬間キラはぎょっとした。
下では、ピンクの髪の少女が無重力に慣れずにふわふわと漂っていて、整備士達を慌てさせている。
 
「ぅわわわわ………」
「な。ほれ、さっさと連れて行ってくれよ」
「は、はい!」
 
キラはばっと下に降りていった。そして浮きながら回っているラクスの手をつかみ足をつかせると、整備士達に頭を下げて、ラクスを連れ出て行った。
その様子を上から見ていたマードックはおかしそうに笑って一言。
 
「若いっていいね―――」
 
 
 
ラクスの手を引いて廊下を歩くキラ。ラクスはにこにこしている。
 
「もぅ、なんで格納庫に来たの?」
 
少しだけ眉根を寄せるキラにラクスはしゅんとした。
 
「ご迷惑でしたか?私はただ……キラ様と……すみません」
 
うつむくラクスにキラはうっと言葉につまる。こんな顔されたらもぅ何も言えない。
はーっと息をついてキラはラクスに笑みを見せた。
 
「ごめん。来てくれてありがとう、嬉しかった」
「……はい」
 
ラクスはふわりと笑みを浮かべる。
その笑みにキラの心臓が跳ね上がり、ばくばくと走り出した。
 
「キラ様?」
「あ、えと………へ、部屋に行こう!」
 
そう言ってキラは一人で先へ行く。真っ赤になった顔を見られたくないからだ。
キラの背を見つめながら、ラクスはきょとんとしていたが、にこぉっと笑うとキラの背中に飛びついた。
 
「うわっ!」
 
突然背中に人の重みを感じてキラは目を剥く。
ラクスはキラの首に手を回して宙ぶらりんになる。
 
「ぐぇっ!ラ、ラクス!」
「キラ様、おんぶしてくださいな」
「お、おんぶー!?」
「はい」
 
自分にぶら下がるラクスの要望にキラは戸惑う。
しかしこのままでは、自分は首が絞まったままだ。なので、仕方なくラクスを背負う。
 
「……これでいいの?」
「はい、ありがとうございます」
「………うん」
 
ラクスが喜んでいるのでいいかと思い、その状態でキラは足を進めた。
が、ふいに目を瞬く。
 
「ラクス………ご飯食べてる?」
「はい?」
 
突拍子もないこと言うキラに、ラクスは目をしばたかせる。
 
「食べてますが………なぜです?」
「いや、軽いなぁと思って」
「そうですか?」
「うん。やっぱり女の子だからかな?」
「では………キラ様の背中が大きいのも男の子だからですね」
「………大きい?」
「はい、とっても」
 
そう言ってラクスはぴとっとキラにくっつく。
 
ラクスは、キラの背のぬくもりに見をゆだねた。気持ちよくてついうとうとしてしまう。
一方、キラはキラで、背中に密着する柔らかいものに気が気でなかった。
 
そのため、部屋に着くまで、自分の背中で寝息をたてるラクスに気がつかなかった。
 

END
 
‐あとがき‐
 
これは……確かキリ10101のリクエスト、だったかな?
おんぶがリクでしたが……悩みぬいた末こんな話に。てへv(キッモ!)
 
こんなほのぼのしたキララクも好きでした。
つーかやっぱりまだラクスのキャラがつかめてない(汗)
いつつかんだんだ、私。いや、まだつかんでないのかも………(冷汗)
 
再up:04.12.12
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お迎え。